生徒さまの深いい話

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生徒さまの深いい話

思えば、30年以上英語を教えていると、
いろいろな生徒さまとの出会いがあります。
その中で、特に私の思い出に残っている
生徒さまについての深いい話を
いくつかご紹介しましょう。

映画を観るのに
字幕って邪魔ですね

お兄さんが通っていたので、中学から本格的に始まる英語の授業に備えて入塾された妹さんのお話です。

中学受験が終わって、入学前、まだ小学6年生の時にお越しになられました。今では、小学校から英語の授業が始まるのが通例ですが、同時は、中学から英語の授業が始まるのが一般的でした。

まだ何も手をつけていない状態、つまり、英語を学んでいない、まっさらの状態で発音のレッスンを始めるとネイティブのような発音になります。お母さんも娘の発音の変貌ぶりにびっくりされておられました。

ところが、中学校に入学されて数ヶ月が経った時のことです。あのネイティブ並に良かった英語の発音がカタカナ英語になってるではありませんか⁈

原因を調べたところ、担任の英語の先生の発音が悪く、それが感染ってしまったということと、周りの生徒に発音がきちんとしている生徒がおらず、自分一人が”変わった発音”をするのが恥ずかしいとのことでした。

大人の生徒さんではこのようなことは起きないのですが、子供の生徒さんに起こってしまった私の初めての苦い経験でした。  

現在では、せっかく身につけた発音が壊れないように、
英語の口や舌の動きや呼吸法を理論的に教えて、外部の要因で崩されないような発音指導をしております。

そして、時が流れて、この生徒さんが大学生になった時のことです。

その生徒が私のところにやって来て言った言葉があります。今でも忘れません。

“先生、映画を観るのに、字幕って、邪魔ですね”

英語教育に関わる者として、この感想こそ、私が求めていたものでした。

英単語を文法に沿って並べると、ある程度言いたいことは伝えることはできます。しかし、これでは “片言の英語” で終わってしまいます。

本当の意味で英語を話せるようになるには、言葉が “感染る” 状態にならなければなりません。英語が聞き取れないと、英語をしゃべれるようにはなりません。具体的に言うと、大人が観る英語の洋画をストレスなく楽しめる状態です。

この生徒さんは、ナチュラルスピードの英語の音を聞き取り、役者の表情や周りの雰囲気から状況を感じ取ることのできる英語力が身についていました。大学卒業後には、さらに磨きをかけた英語を駆使して、仕事をしています。

一人でも多くの人に、この生徒と同じ体験をして頂けることを願い、英語教育を行っております。  

寝袋を持ち込んでまで
勉強していた社会人の
生徒さんの顛末

ここで、社会人で大学入学を志望された生徒さんのお話を一つ紹介します。能力のある生徒が出来るのは当たり前なので、とてつもなく出来が悪かったAくんが自分で道を切り開いたお話です。

A君は、山梨県の公立の工業高校を卒業し、東京の電気工事の会社に就職し、上京してきました。

A君の高校はいわゆる進学校ではなく、友達のほとんどが就職していたので、彼もその流れで卒業すると就職したそうです。

しかし、就職したはよいものの、給料も安く将来に不安を感じていたA君は、大学受験を決意したのでした。その当時、私の英語塾は新宿の紀伊國屋書店にパンフレットを置かせてもらっていました。それをたまたま目にしたA君が私のところにやって来ました。

まず、現状の英語力を測るために出した問題は、

  I (am, are, is) a student.

それで、彼が選んだ答えは、

I  is  ・・・   (正しくは、I  am  ・・・)

つまり、彼の英語力は限りなくゼロに近いということです。

この時から、彼の英語学習は始まりました。初めの一年は仕事をしながら、もちろん学費は自分のなけなしの給料から出しています。
仕事を終え、夕方6時に塾にやって来て、授業を受け自習を繰り返す毎日でした。


ある日、寝袋を持ってきた彼は、時間を捻出するために受講後、そのまま泊まりたいというのです。

社会人が学習時間をつくるために、そこまでがんばれるのかと感嘆したのを覚えています。
それからしばらく彼は、受講後、教室に泊まっていました。

そんなある日、A君のご両親が山梨から上京され私のところに来られたのです。

“息子が会社を辞めて、大学受験をすると言っているんですよ。今までどんなに勉強させようとしても見向きもしなかった子ができるわけがない。せっかく就職した会社を辞めるのはリスクが大きすぎるので、息子に大学受験を思い止まらせて欲しい。”

とのことでした。

しかし、本人の意志は堅く、大学進学の意志はぶれることはありませんでした。受験前の最後の一年間は反対していたご両親も支援して頂きました。

もちろん、大学受験は英語だけではありませんから、他の教科もやらなくてはなりません。A君は中学、高校時代に読書もほとんどしたことがなく、日本語の語彙も乏しい生徒でした。大学受験に合格できるだけの知的レベルに引き上げなければなりません。

英語の正しい学習方法は、他の教科にも応用できます。

例えば、効率的な英単語の記憶法を身につけると、暗記教科である社会の成績が上がります。また、英文の論理的な読解は国語の読解力に大きく影響します。A君はこの間、他の塾や予備校に通うことはありませんでした。

ここで大切なのは、”自分で学んでいく力” をつけるということです。

社会に出て最も必要とされるものは、この自分を成長させる力だと私は思います。

” I  is  ・・・” という答えを選んだA君は、私の英語塾に来て2年半で、明治大学の商学部に進学しました。彼は仕事しながら2年半で中学、高校6年分の勉強をやって大学に合格したことになります。

2年半で彼が塾に支払った授業料の総額は、週2〜3回の授業で百万円くらいでした。決して安い金額ではありませんが、彼が今後も努力を続け立派な社会人となり。彼が支払った学費以上の報酬と人生の豊かさを手に入れることを願ってやみません。

この話には続きがあり、彼は現在、〇〇億の資産を運用する個人投資家になっております。

海外に一度も出たことのなかった
生徒さんの就職活動

この生徒さんもお姉さん2人が通われておられて、三人姉妹の末っ子でした。

通い始めたころは、中学2年生だったと思います。

高校受験をされ、英語を武器に全ての志望校に合格し、名門大学の付属校に進学されました。好きな英語の学習は大学進学後も続けて、ビジネスでも不自由しない程の英語力は身につけていました。

時が過ぎて、この生徒も大学4年生になり、就職活動の時期になりました。

彼女は旅行を含めて海外に出たことはなかったのですが、異国の地で生活をしたいという夢がありました。そこで、自分の武器である英語が使えて、海外勤務がある会社を中心に就職活動をしていました。

面接の際に何度も面接官に聞かれた質問が、

 “帰国子女でもないのに、どうしてそんなに流暢に英語がはなせるの?”

と言ういうものでした。

実際、”留学経験がないのに流暢な英語を身につけているという事実”をネタに、就職面接を受けていたようです。

彼女は就職活動も無事に終わり、第一希望のJETROに採用されました。JETROは、日本企業の海外展開を支援する独立行政法人です。彼女の得意な英語を駆使して活躍でき、海外勤務もある職場です。

現在、この生徒さんは、オーストラリアの支社に勤務されています。

渡豪前に、通訳案内業の資格の勉強を一緒に勉強をしたのを覚えています。日本酒の種別や伝統的窯業について…

英語を学習していると、日本文化についての知識が必要になります。実際、海外に出て、共通言語の英語でコミュニケーションを取っていると、原地の方から日本のことについて、いろいろと聞かれます。日本食から日本の歴史、アニメについてまで。

四季があり自然豊かで、深い歴史や文化を持つ日本は、海外の方にとって興味深いのかもしれません。

あいさつ程度の英語力ではなく、日本文化の “わびさび” までも表現できる「知的バイリンガル」の日本人が一人でも多く生まれることを願ってやみません。

彼女は、一番下から最高のレベルまで「英語の王道」を歩み、「知的バイリンガルを育てるというLACOMSのシステムを体現した生徒の一人です。

海外に住むのが夢だった生徒さんがその夢を叶えたお話でした。