日本人が英語を話せない究極の理由

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日本人が英語を話せない究極の理由

英語教育の業界に身を置き、四半世紀以上経ちますが、

“英語を話せるようになりたい!”

“子供だけは英語を話せるようになって欲しい!”

という思いに触れることは今も昔も変わりません。

そんな思いと同時に、

“なぜ日本人は英語を話せる人が少ないのだろう?”

“英会話や塾でこれほど時間とお金を投資して、得られる結果は自分の思いと違うのだろう?”

と感じられている方は多いと思います。

日本人が日本にいてネイティブと同じように英語を使えるバイリンガルになる方法は確実に存在します。

しかし、日本全体の英語教育の現状を時間とともに俯瞰してみると、日本人の英語力が大きく向上してらいるようには、どうしても思えないのです。

起こる現実には必ず原因があります。

みんなと同じ昔ながらの方法でやっていたら、同じ結果しか得られません。

英語が話せない人に習っても、英語が話せるようにはなりません。(英語の先生に対して、英語話せるんですかって、聞けませんよね。(^^;)

英語が話せるネイティブに習っても、英語慣れはするかもしれませんが、母国語と同じようには話せるようにはなりません。(発音を含めた様々なトレーニングが必要だからです。)

長年英語教育に携わり、帰国子女を含めた子供から大人までの英語学習者の方々と接してきた経験から言えること「日本人が英語が出来ない原因」は、

「英語学習の順序」

にあると思います。

人が社会生活を行う上で、言語について必要な4つの技能があります。

「読む」「聴く」「話す」「書く」の “4技能” と呼ばれるものです。この “4技能” がきちんと身についた時、一つの言語を習得したと言えます。

この “4技能” という言葉は教育現場でよく耳にするワードですが、2つの誤解があります。

一つは、

4技能をまんべんなく教材やカリキュラムに取り入れなければならないという誤解

もう一つは、

「読む」「聴く」という受動的な技能から「書く」「話す」という能動的な技能へと英語学習の重点を転換すべきだという誤解

です。

言語の習得には「順序」があります。

「聴く」→「話す」→「読む」→「書く」

という順序です。

子供が言語を習得していく過程を考えると分かりやすいと思います。

赤ちゃんがこの世に生を受けて、最初に出会うのは周りの人達の声です。(聴く)

その声を真似ながら、表情やジェスチャーを用いて自分の喜怒哀楽を表現します。(話す)

文字を覚えて本が読めるようになり、言葉の世界が広がっていきます。(読む)

自分の言葉を文字にして客観的に見ることによって、さらに自分の言葉に磨きをかけます。(書く)

このように、4技能の習得においては、その「順序」が大切なのです

学習の順序が違っていたら、どうなるでしょう?

4階建の建物で、1、2階の構造が不十分だった場合、その上に階を積み上げることはできません。

実際の日本の英語教育はどうでしょうか?

きちんと英語の音が聞き取れたり、感情移入して話すことができる前に、読み書きのステージに進んでいないでしょうか?

聴けるようになるには「発音」を良くしなければなりません。音がズレていると聞こえないからです。

話せるようになるには、言葉を紡ぎ出すための「文法」を身につけなくてはなりません。

読めるようになるには、読んだ時に、感情やイメージが湧き起こる「語彙力」を身につけなければなりません。

書けるようになるには、前述の全ての要素が必要になります。

もしあなたが英語学習において、つまずきや伸び悩みを感じておられるなら、このどこかの段階に問題があると思われます。

今、私が思うのは、

“英語が使えない生徒を生み出している現状を変えたい”

ということと、

“多くの日本人が英語を自由に使いこなしている未来がみたい”

ということです。

最近は、世界で活躍する日本人選手や多国籍に展開する日本企業も増えてきました。グローバルな視点で技術や知識を吸収して、自分が何者であるかを伝えるには、英語は絶対に必要な道具です。

日本人の英語力は、個人においても、英語教育全体においても、大きく変わる余地があります。伸びしろのほうが大きいと言っても過言ではありません。

海外に行って、共通言語である英語を使ってコミュニケーションをとると、現地の方に日本についていろいろ聞かれます。日本食、日本の歴史から、アニメについてまで。

四季があって自然豊かで、深い歴史や文化を持つ日本は、外国の方にとって、興味深いものかもしれません。

挨拶程度の英語力ではなく、日本文化の “わびさび” までも表現できる日本人が一人でも多く生まれることを願ってやみません。

LACOMS代表 水野 潔